「平和祈念展示資料館―戦争体験の労苦を語り継ぐ広場―」を新宿住友ビル48階にて開館しております。是非お越しください。
平和祈念展示資料館では説明員による館内の説明を随時実施しております。(要予約:無料)電話、メール予約でも申込みを受け付けております。(必要事項:団体名、代表者、希望日時、人数、連絡先〔電話番号など〕)。また、予約される場合は、見学ご希望日の1週間前までにお願いいたします。なお、予約状況により、ご希望に沿いかねる場合もございますので、あらかじめご了承下さい。
校外学習、遠足などの際は、お気軽にご相談ください。 休館日: 年末年始、新宿住友ビル全館休館日、その他不定期(展示資料の入替日等)
資料館内の語り継ぐ場と特設展示コーナー(3ヶ所)において、収蔵資料展を開催しております。今年度は「資料が語る体験者の想い」をテーマとして、これまで未発表の資料をはじめ、今年度に寄贈された資料や地方展示会などで好評を博した資料など約250点を展示し、体験者や寄贈者の資料に対する想いを紹介しております。
主な展示資料は次のとおりです。
「召集令状を知らせる電報」、「日の丸のチョッキ」などを寄贈された田畑芳子
さんは、「結婚4ヶ月目に主人が出征しました。戦時中は、祖先の位牌と主人の持ち物はいつも側において大事に保管し、何かあったらすぐに持ち出せるようにしておきました。」と述べています。
また、終戦後、シンガポール近くのレンバン島に送られ、復員まで過した体験者の小野沢秀匡さんは、「入島2ヶ月間は全くの徒手空拳でジヤングル、雨季、飲料水、飢餓、潰瘍等との必死の戦いでした。」として、レンバン島で綴った「連範雑記」(レンバン島滞在日記)を寄贈してくれました。
また、兵士たちが赴いた戦場の状況や雰囲気をいささかでも理解して頂きたく、特設展示コーナー(1)において、「南方での戦い」と題して、陸軍専属の従軍カメラマンであった小柳次一氏が撮影したフィリピン戦の写真(6点)及び当資料館が所蔵し、これまで展示希望が最も多い漫画家の水木しげる氏がラバウルでの体験を描いた原画(3点)を展示しています。
当時、国民学校(現在の小学校)1年生だった小坂慶昭さんからは、空襲の記憶とともに忘れられない「B29が投下した錫箔」が寄贈されました。日本軍のレーダーをかく乱するため、米軍爆撃機B29が撒いたスズ箔について、小坂さんは、「投下された音はザーとすさまじく、子供心にも恐い思いをしました。その後に焼夷弾を落としていくので気が気でなかった。」と述べています。
戦後、シベリアから復員したご主人と結婚した丸山真澄さんは、「結婚直後、主
人の母親から大事なものだからと託されたものです。主人はシベリアでのことを多くは語りませんので詳しくは尋ねませんでした。主人が亡くなった後は、私の愛用品としてずっと身近にもっていました。」として、その大事な「ステンレス製のペーパーナイフ」と「匙」を寄贈してくれました。
また、ロシアから大阪大学に留学中のフェドロワ・アクリナさんからは、留学に際し、祖父から手渡された写真が寄贈されました。アクリナさんは、「祖父がイルクーツク収容所の監視兵のときに日本人抑留者から預かった写真を日本に帰すことができて感動しています。」とのメッセージを添えています。
なお、現存するシベリア抑留者に関する写真や映像等の記録は、旧ソ連軍がプロパガンダを目的に撮影したものであり、そこからは抑留者の実状が伝わってきません。
そこで、特設展示コーナー(2)において、「描かれた抑留生活」と題して、体験者の吉田勇氏が描いた絵画(5点)を展示しています。特に、配給された黒パンを抑留者が公平に分けるシーンを描いた油彩画『食糧の分配』は、小さくパネル化したものを館内に展示しておりますが、原画の持つ迫力とともに抑留者の飢餓の状況が伝わってくる作品です。
終戦3ヶ月前に満州の新京(現、長春)で結婚し、戦争で負傷したご主人と生まれたばかりの赤ん坊の3人でソ連軍政下を生きぬいた笹谷和子さんは、「主人が軍人だったことがわかるとソ連兵に連行されるという噂が流れ、主人のものはすべてお風呂の焚き口で燃やしました。」と述べ、昭和21年7月21日、引揚げのため新京を出発する時に服に縫いつけたり、大切に持って帰った「腕章」や「引揚時のメモ」などを寄贈してくれました。笹谷さんは、さらに続けて「当時のことを子や孫にあまり話していません。若い人たちに観ていただきたいと思います。」と述べています。
また、沢田愛子さんは、戦後、タイのバンコックの民間日本人が帰国するまで収容されていた「バンバートン収容所」の写真をご主人の人物像を紹介するメッセージとともに寄贈してくれました。
こうした海外引揚者に関する終戦時や引揚げるまでの生活等の状況は、シベリア抑留者と同じように写真や映像記録に残されていません。引揚げ体験者の証言やスケッチ、絵画などが当時の状況を知る貴重な手がかりです。
特設展示コーナー(3)では、「なつかしの日本を目指して」と題して、当資料館所蔵の中国引揚げ漫画家の作品(10点)を展示しています。
山口太一氏は、原画作品の『揺れる引揚船の底で』において、船酔いで真っ青な顔の引揚者の中、独り配給のご飯を食べている少年時代のご自身を描き、さらに船が揺れている表現を工夫しています。また、漫画『あしたのジョー』で著名なちばてつや氏は、原画作品『赤い夕陽のなかをひたすら歩く』にご自身の引揚げ体験を描いていますが、常設展示にある同氏のパネル作品『歩けなくなった人もいた』と見比べてご覧ください。引揚者にとって「歩ける」ことの意味が伝わってきます。
以上、展示資料の一部を紹介しましたが、会場には所蔵図書とともに、今年度寄贈された図書を閲覧するコーナーを設けています。展示資料の寄贈者が著した図書もありますが、それらを読み進めていくと、著者(寄贈者)の資料に対する想いが伝わってきます。
ご来館の際は、常設展とあわせて収蔵資料展を48階からの眺望とともに、是非ご覧ください。(ただし、時間帯によっては、日差しから展示資料を保護するため、ブラインドを下ろす場合もあります。)
資料館の図書閲覧コーナーに非売品や自費出版された寄贈図書類を中心に紹介するコーナーを設けました。兵士の立場から書かれた体験記や開拓団の記録など一般的に入手困難な図書のほか、抑留画家として著名な故香月泰男氏や、その後継者と称される宮崎進氏の作品集なども紹介しています。
また、特別企画展「収蔵資料展-資料が語る体験者の想い-」(2月19日~3月29日)の開催にあわせて、今年度に寄贈された貴重な図書を追加紹介するとともに、展示期間を延長させて頂きます。
ご来館の際は、是非、ご閲覧ください。
特別企画展「収蔵資料展~資料が語る体験者の想い~」(平成22年2月19日(金)~3月29日(月)、於:平和祈念展示資料館)の開催に併せ、開催期間中の土日及び祝日の14時から16時まで語り部さんが来館して戦争体験・労苦について、生の声をお届けします。
また、2月20日(土)、3月14日(日)及び同月27日(土) には、14時30分から15時まで及び16時30分から17時までの2回、当資料館学芸員による展示資料解説も行います。
